夫側に児童手当が支給されている状態で、子連れで夫のDVから避難した場合の児童手当の扱いについては、法律上の婚姻関係が継続していても、実際に子と同居して養育している方の親に支給されるから、母親側が受給できる、と相談機関・支援機関などでは聞いていました。
引越し後すぐに市役所へ行って住民票を移し、支援措置の手続きを終えたその足で、早速児童手当の担当窓口に行ってみました。
そこで初めて、DVからの避難という止むを得ない事情でも、別居中で既に住民票が別々でも、『住民基本台帳事務における支援措置』申出済み(つまり警察がDV相談の証明書を発行済ということ)でも、夫の扶養家族になっている(扶養内で勤務しているor専業主婦)限りは、児童手当を母親側で受給することはできないことを知らされました。
窓口で何か申請書を書いて出せば手続きできるものだと思っていましたが、最終的に4ヶ月間もの時間を要し、煩雑な手続きを経て、ようやく受給者変更が実現しました。児童手当ひとつで、まさかこんなに大変な現実が待っているとは、想定外でした。
<当時の状況>
⇒転居済み
⇒警察へは相談済み
⇒警察の証明書に基づき『住民基本台帳事務における支援措置』申出済み
⇒住民票異動済み
⇒保護命令の申し立てはまだ
⇒離婚調停の申し立てはまだ
条件
まず、受給資格を母親側に変更するためには、DVかどうかに関係なく、相手方の扶養から外れることが絶対条件とのこと。
ただ、扶養に入ったまま別居していても、離婚を前提にした別居であれば受給者変更ができるため、もし離婚調停中であることが証明できれば受け付けできる、と言われました(これもDVかどうかは無関係です)。逃げた直後のことで当然離婚調停も始まっていなかった私の状況では、無理難題でした。
警察の発行した証明書を添付して『住民基本台帳事務における支援措置』の申出を済ませていても、それではDVの証明にはならない、と応じてもらえませんでした。これについても、逃げた直後でまだ保護命令申立ての準備にすら取り掛かっておらず、DV事例としての手続きが出来ないという状況。
可能だと聞いていた、DVを根拠にした受給者変更が、まさかの出来ないという事態に、正直驚きました。扶養に入っていないためにすんなり受給者変更をしてもらえる立場の人に比べ、扶養に入っている人こそ早急な受給者変更を必要としていると思うのですが…。
扶養から外れなさいと言われたところで、DV夫から逃げている状態で、現実的にそんなやりとりが出来るのだろうか?具体的にどうやって?と困惑してしまいました。
保護命令申立ての準備に取り掛かり、配偶者暴力相談支援センターに通っていたときに、担当の方が、健康保険はどうなっているかと気にしてくださり、DVから避難しているという事情のために実質母子世帯なのに夫の扶養から出られない、という状況の人でも、国民健康保険であれば加入出来るようになっているので、市役所の窓口で加入手続きをしてください、ということを言われました。
それで市役所の国保の窓口に電話で問い合わせてみると、「そんな馬鹿な」と言われました。「そんな話は聞いたこともない。どういう状況かに関係なく、まずは現在加入している健康保険を脱退してからでないと、話が始まらない。いったい誰がそんなことを言ったのか。」と。
現在入っている健康保険を聞かれ、そこだったら間違いなく、DV被害者側からの申し出で夫の扶養から抜けることが出来る手続きというのが存在するので、まずは現在の健康保険の方に相談して離脱が完了してから、国保の窓口に来てください、とのことでした。
(もともと入っていた健康保険の離脱については、別記事に書きたいと思います。)
現況届
児童手当の受給者変更が出来ずにいる間に、年に一度の現況届の時期も到来してしまいました。現況届の申請用紙は当然相手方に送付されるため、私の側では現況届の書類を手にすることもできないという問題が発生しました。仕方がないので、直接用紙をもらおうと窓口に行き、事情を説明すると、相手方がすでに提出済みだったことが判明しました。児童の欄の同居・別居の別については別居に〇がされ、住所は不明として受理されているとのことでした。
(令和4年からは、住民票異動をしないままDVから避難しているケース等を除いて、現況届自体が原則無くなります。自治体によっては継続するところもあるかもしれません。)
保護命令が出ていても、すぐには変更できない
1ヶ月半経ったころ、保護命令が無事に発令され、今度は離婚に向けて動き出しました。
この段階で、保護命令の謄本を持って、改めて児童手当の受給者変更をしに市役所へ行ったところ、これでたしかにDV被害者の場合としての申請はできるものの、保護命令が出ていることを根拠に手続きするケースは、審査にとんでもなく時間がかかるのでお勧めしません、と思ってもみないことを言われました。扶養家族でないことか、離婚調停中であること、のどちらかで行くのが現実的なのだそうです。
3ヶ月ほど経過して、やっと元の健康保険からの離脱が完了したので、国民健康保険に加入しました。
同時期にちょうど離婚調停の期日通知書も届きました。
夫の扶養から外れているとともに、離婚調停の初回日程も決定していて、条件2つがどちらも満たされた状態となったので、これでようやく申請に進むことが出来ました。
申請後1ヶ月ほどで無事認定が下りました。
結果、現実に受給者が変更されたのは、最初に市役所の担当窓口を訪れてから4ヶ月後となってしまいました。これは本当に大きな誤算でした。