社会保険

健康保険

夫のDVから避難したことにより、婚姻関係は継続していても、実態は母子家庭の状態と変わらないのであれば、母子家庭に準じた扱いを受けられるケースがあります。条件として、DVの証明(保護命令が発令されていること)が必要だったり、離婚が予定されていることや、扶養関係が解消されていることが求められたりします。

この記事では、社会保険上の扶養家族から外れる方法について、私が経験した協会けんぽの場合について書きたいと思います。

健康保険

協会けんぽの場合、[被扶養者の削除]の手続きを、被保険者の勤務先を経由しなくても、被扶養者自らで行うことが出来ます。

相談するべき窓口は、相手方の事業所を管轄する年金事務所です。住所と勤務先の管轄地域とが同一でない場合でも、もちろん勤務先の管轄の年金事務所のほうに手続きを依頼します。担当部署は厚生年金適用調査課です。

DV関連なので、郵送でのやり取りではリスクがあるのではないか?直接窓口に出向く必要はないか?と聞いてみましたが、転居後の住所等の個人情報については、相手方に漏洩することがないよう厳重に取り扱われるので、郵送でも大丈夫とのことでした。

まず、『健康保険の被扶養者削除にかかる申出書』のような書面(任意の様式で構いませんが、希望すればひな型を郵送してもらえます)に記入し、DVの証明(私の場合、事前確認を取ったうえで保護命令の謄本コピーを提出しました。他にどのような書類が証明に使えるのかは確認出来ていません。)と、健康保険証のコピーを添付して郵送で提出します。

その後、被保険者本人(=相手方)に対し、「被扶養者から扶養関係にない旨の申し出があったので、〇月×日までに勤務先を通じて被扶養者の削除の手続きをするように」といった趣旨の通知が行きます。
定められた期限内に相手方が納得して動いてくれれば、それで扶養から外れることが出来ますし、相手方が承諾せず通知を無視した場合は、設定された期限が過ぎると年金事務所が職権で削除するので、いずれにしても扶養から外れることが出来ます。一旦相手方が手続きするのを待つため、案外時間がかかります。

相手方の手続きはあったのかどうかは分かりませんが、後日、離脱完了通知のような証明書が郵送されて来ました。これを持って行って国民健康保険への加入手続きを行いました。

同時に電話もかけて来て下さり、『医療費のお知らせ』についての注意喚起がありました。年に一度発行され被保険者に郵送される『医療費のお知らせ』の次回発行分に、扶養を外れる前の扶養家族の受診歴(医療機関や受診日)のうち未掲載の分が載ってしまうので、それを防ぐ制度が存在するとのこと。詳細は協会けんぽに相談してください、とアドバイスされました。なるほど。そこまで考えが回っていませんでした。
協会けんぽに問い合わせてみると、DV案件で扶養から外した旨を年金事務所から連携された時点で、自動的に『医療費のお知らせ』についての対応がされる運用になっているので、改めて私のほうで必要な手続き等はないということでした。今後発行される『医療費のお知らせ』には、被扶養者であった期間の受診歴であっても、過去に遡って一切掲載しない措置が取られるそうです。

年金

夫の扶養家族(第3号被保険者)から外れると、第1号被保険者となるため、厚生年金保険等に加入しない限り、国民年金第1号の加入手続きが必要です。

扶養から外れる相談に対応してくれた担当の方から、DV被害者保護のために基礎年金番号を変更できる制度があることを教えてもらいました。代理を装って勝手に被害者の年金相談や加入期間照会などをされるリスクがあって危険なので、住所地の年金事務所で国民年金の加入手続きをする際に、同時に基礎年金番号変更の相談をしたほうが良い、と勧められました。