離婚に伴って婚姻期間中の財産を分割する際、年金についても、保険料の納付記録を分割できる『年金分割』という制度があります。年金分割をしておくと、それぞれが将来受け取る年金額は、分割後の納付記録に基づいて計算されます。
DVで家を出て、保護命令が出て、離婚に向けて動いていた当時、年金分割についてはネット上の情報も今ほど無く、少し調べてみても、複雑すぎてさっぱり訳が分からなかったので、他の色々なことで既にてんやわんやの状態なのに、さらに年金分割までするだけの気力がなく、今するのは無理だ、とその時は感じました。離婚成立から2年経過するまでは手続きができるということで、まだ猶予があるなら、と先送りにしてしまっていました。
離婚から随分時間が経ち、期限切れになる前に、とようやく重い腰を上げて改めて調べてみると、当時に比べ分かりやすい情報もたくさんネット上に出ていて、今更ながら年金分割についてようやく分かってきました。
合意分割
双方が厚生年金に加入している期間について分割する場合は、按分割合の合意が必要です([合意分割])。協議離婚でまとまるなら、合意内容を添付して年金事務所で手続き出来るかもしれませが、DV離婚となると、離婚調停のときに併せて申立てをするか、離婚後に改めて家庭裁判所に年金分割の申立てをするか、ということになると思います。
合意できたとしても、按分割合にもよりますが、相手方よりも標準報酬月額が少なかった私の側に相手側からの分割分が若干上乗せされる程度のことかと想定されます。まとまるかも分からない辛い調停のために、もう一度長い期間神経をすり減らすこともないと考えました。
3号分割
家庭裁判所に改めて年金分割のための調停を申し立てないといけないものとばかり思い込んでいましたが、こちらが単独で、直接年金事務所で手続きすることが出来る[3号分割]という制度があることを知りました。国民年金第3号被保険者(専業主婦や扶養内で働いている等)の期間中の相手方の納付実績の2分の1の分割を受けられます。相手方の合意も不要で一方的に動くことが出来ます。
子どもが生まれてからは離婚するまでずっと相手方の扶養に入っていた私のケースでは、3号分割の対象になる期間もそこそこあります(婚姻期間の半分以上)。断念しかけていた年金分割ですが、期限切れになる前に、3号分割をすることにしました。
手続書類は年金機構のホームページからダウンロードできます(標準報酬改定請求書)。
婚姻期間が分かるように、戸籍謄本などを提出する必要があります。
相手方の死後1ヶ月を過ぎると年金分割は出来ないので、生存確認のために、1ヶ月以内に発行された相手方の戸籍抄本や住民票の写し等を必ず添付する必要があります。
その他に以下が必要です。
年金手帳(標準報酬改定請求書に基礎年金番号を記載した場合)。
マイナンバーカード(標準報酬改定請求書にマイナンバーを記載した場合)。
写真付きの本人確認書類。
印鑑。
相手方の合意なく単独で手続き出来るとは言え、標準報酬改定請求書には、相手方のマイナンバーもしくは基礎年金番号を記入する欄があるほか、相手方の生存確認のための書類も必要です。生存確認書類は、標準報酬改定請求書にマイナンバーを記載した場合は添付不要なので、マイナンバー1つあれば事足りると思い、ダメ元で相手方に聞いてみましたが、やはり断固教えてくれないとのこと。生存確認のためということに対しては、「生きてるから確認する必要はない!」と、理由になっていない突っぱね方をされました。住民票は取りに行ってくれる意思はあるようです。
年金事務所に問い合わせてみたところ、相手方のマイナンバーや基礎年金番号については、相手方の特定が目的なので、特定さえ出来れば必ずしも必要なものではなく、他の情報(これまでの住所や勤務先)があれば大丈夫とのことでした。相手方の生存確認のための書類(1ヶ月以内発行の戸籍か住民票)は必ず必要だと言われました。
年金分割(3号分割)をすることで、DV被害者として何か不利益になることはないか聞いてみましたが、住所等が印刷されるような物もなく、何ら問題はないそうです。ただ、 細心の注意が払われるよう促すために、念のためDVのことは必ず窓口で伝えるようにしてください、と言われました。
相手方が住民票の写しを取得し次第、面会交流の際に子どもに渡してもらうか、実家に郵送してもらうなどして、年金事務所に行ってこようと思います。